投資被害を諦める前にご相談を
弁護士に相談すべき投資被害には、「明らかな投資詐欺を受けた」という場合だけではなく、「リスクについて十分な説明を受けることが出来なかった」という説明義務違反があった場合も含まれます。
不動産投資は、その性質上、投資被害に遭った場合に失う金額が高額になりがちですので、投資被害に遭った場合、投資を勧誘した業者に説明義務違反があったとして、損害賠償請求等を求め、訴訟を提起するケースが少なくありません。
そもそも投資は、経済的リスクを伴いますので、個人の方が不動産業者から投資の勧誘を受けた際に適切な説明を受けていたのであれば、業者に説明義務違反があったと考えるのは難しいかと思います。
ただ、「適切な説明とは何か」という点は、しばしば問題となります。
実際の投資被害においても、いろいろと説明を受けたが、それらの説明が不適切または不十分であるとして、裁判で争われるケースがあります。
この点、投資用マンションの勧誘における説明義務違反による損害賠償請求を認めた近時の裁判例として、東京高等裁判所令和元年9月26日判決があります。
事案としては、Aさんが不動産業者であるB会社から投資用マンション購入の勧誘を受け、B会社から投資用マンション2室を購入したが、B会社による説明義務違反等の違反行為があったがために収支差損を被ったとして、B会社に対し損害賠償請求を求めたというケースです。
判決は、B会社には少なくともマンション投資についての空室リスク、家賃滞納リスク、価格下落リスク、金利上昇リスク等をわかりやすく説明すべき義務があるのにB会社はその説明義務に違反したとして、Aさんによる損害賠償請求を認めました。
この裁判では、B会社が、不動産売買に必ずしも慣れていない人に向けて特別に用意した説明書面をAさんに示しており、かつ、その書面にAさんの署名捺印等を得ていることから、B会社には説明義務違反がない旨を主張していましたが、
東京高裁は、契約締結に至る経緯を全体的にみれば、上記の説明書面は、B会社が、説明義務違反を問われないために体裁を整えただけの書面にすぎないというほかないとして、B会社の主張を認めませんでした。
この東京高裁の裁判例のように、説明は受けたがその説明が不適切であったとして、投資被害によって被った損害を賠償請求できる場合があります。
「不動産業者から説明は受けていたし、書面にも署名押印してしまったから、この損失は自分一人のせいだ」と諦める前に、
その説明が果たして適切な説明であったのかどうか、一度弁護士に相談してみることをお勧めいたします。